カシータ のボイラーは外に出てライターで着火、消火も外に操作ノブがあり面倒なので撤去して家庭床暖房用の小型ガスボイラーを取り付けていた。ロデオのボイラーは基本構造こそカシータの物と同じだけれど、レンジフードにある操作パネルのスイッチひとつで自動着火、消火する優れ物なので特に不満なく使用していた。

しかし20年近く経つとやはり電気系統が調子悪い時があり、30秒位で勝手に消火して再着火を繰り返す症状が稀に出る。シャワーを使えるようになるまで通常15分程だけれど、この症状が出ると30分位かかる。
日常生活でも帰宅したらまずフロの性分なので、目的地に着いたらまずシャワーを浴びたい。長時間運転の緊張でへんな脂汗をかいているので、どうもそのまま室内で寛ぐのは気持ち悪い。ここで15分ないし30分が無駄になる。かといって走行中ガスを使用するのは危険だ。
ところで車はエンジンの熱を冷却水で無駄にしているので、これを有効利用するためロデオにはリヤヒーターが冷蔵庫の上に付いていて冷却水が車体後部まで循環している。この熱で湯沸かしできないか調べたところ、ヒートエクスチェンジャーなるものがあることがわかったが5万円位するので費用対効果???のところネットの知り合いから1万円強で中古品を分けて貰った。
エンジンルーム内に設置してエンジンを掛けながら瞬間的に水をお湯にして使うことを想定した商品だけれど、前所有者によるとサイズが小さすぎて夏場以外はぬるくて使えないので大きいサイズの物に買い替えたとのこと。
瞬間的に水がお湯になるほどの熱交換効率がなくても、いったんボイラーに貯湯して少しずつ暖めていくならこのサイズでも大丈夫だろう。もし能力不足でガスで追い焚きするとしても時間の無駄が減りガスの節約にはなる。

小型のポンプでヒートエクスチェンジャーとボイラー間を水が循環するように試行錯誤中。冷却水とボイラーの温度をセンサー で監視して循環ポンプと冷却水ポンプを自動でONOFFする簡単な制御回路を製作中。水道の水圧が掛った状態で循環ポンプを回すと壊れるので、水道水ポンプの圧力スイッチがOFF状態では起動しないよう論理回路を組む。
リヤヒーターのヒーターホースはうまい具合にボイラーの脇を通っているけれど、外壁側なので室内側から取り出すのは難しいためボイラーを外すことにした。

外側のカバーは長いビス3本で簡単に外せる。
本体は長い木ネジ上下2本ずつで留まっているが、下はコーキングに隠れているので見落としやすい。
あとは左右から角材で挟み込むように固定されているので3本の木ネジを外してどちらか一方の角材を外す。外すのは簡単だが取付けは横方向にテンション掛けながらなので難しい。
室内側は2本の木ネジで床に固定されているだけだが、ちょうど写真で抜けきっていない底部に角材がビス止めされているので、この状態で室内側からビスを外す。取付時はこの角材をビス止めしてから外壁と固定しないとやり直しになる。はい、忘れていてやり直しました。
ヒーターホースはボイラー真上の冷蔵庫の所で切断。
切断する前に冷却水を抜いたが、切断面を観察すると長期間冷却水が通った感じがしないので、エンジンを掛けただけではここまで循環しないようだ。リヤヒーター用の冷却水ポンプが左後輪奥の床下に設置されていて、ポンプを起動しなければ水圧は掛らないようなので冷却水を抜く必要はなかったようだ。

ここで切断してしまうとリヤヒーターは当然使えない。ボイラー脇で分岐して生かそうとも思ったが、ヒーターホースは1000円/mと高価だし、頭上からの温風は暖房効率が悪いので殺してしまった。ヒートエクスチェンジャー自体ヒーターコアみたいなものなので、ファンを取り付ければ足元から温風を出すこともできるだろう。まぁこのへんは好みで。
上の写真の真下、ボイラーを抜き取った後。
外したネジを忘れないよう差し込んで撮影したのでどのように留まっているか理解しやすいかと。

ボイラーと内壁のわずかな隙間にヒーターホースとリヤエアコンの配管がそれぞれ行き戻り計4本通っている。ここで切断して3つ叉をかまし分岐すればリヤヒーターもそのまま使える。ただ1カ所当たりの水圧は落ち熱効率が下がるのでそれそれにバルブを設けた方が良いだろう。
ヒーターホースに白いコーキングが付いているところがちょうど冷蔵庫の床を貫通していた位置。
こうして見るとボイラーを外さなくてもなんとかできそうだけれど、事前に構造がわかっていないとやっぱり無理かな。

ヒートエクスチェンジャーは直径75mmの円筒に冷却水が満たされ、その中に水が通る銅管がコイル状に入って熱交換しているだけの単純な構造だから、耐熱塩ビパイプVP65を20cmと蓋2つ、ニップル2つと銅管2m、材料費2000円程度で自作することもできそう。ただ万一の冷却水漏れはエンジンのオーバーヒートに直結するので怖い。まぁ冷却水ポンプを止めれば漏れも止まるので、水温計を常に観察していれば水も大量に積んでいるので足し水には困らないし大事には至らないだろう。

旧車に冷却水漏れはつきものなので、車体下を覗き込むのは癖になっている。去年の夏東北道でヒーターパイプに亀裂が入りエンジンルームがLLC緑色になった時は驚いたが、幸い水温計が半分を超えたあたりで気付きスローダウンしてSAで現場修理し4L位水を入れて1時間弱のロスですんだ。フェリーに乗り遅れる寸前だったが、なんとか1週間の北海道旅行 を続行することができた。

エンジンオイル点検口のすぐ後ろ、このジョイントから霧吹きのように高圧冷却水が噴き出した。
原因はホースニップルの直径がホース内径に比べ細すぎたこと。ヨコハマモーターセールスがリヤヒーターのために増設した部分だが、ぶかぶかなのをむりやりバンドで締め込んでいたためバンドのエッジにホースが鋭角に当たっている状態で亀裂が入っていた。

幸いホース取り回しに余裕があったのでホースを数㎝切断して繋ぎ直したら漏れは止まったが、1週間の休暇が台無しになるところだった。

どうもYMSの仕事はプロとは思えないお粗末が多すぎる。排水バルブ にしろサブフレーム にしろ、不注意ならともかく確信犯的なのが許せない。ある意味それがプロなのかもしれないが。
ボイラーを外したのはもうひとつ理由があって、このホースニップルを外して間にチーズを入れて分岐させヒートエクスチェンジャーとボイラー間で循環する水路を作るため。
ホースに三又ニップルを接続する方法もあるけれど、ボイラーと居室の隙間は20cm位しかなくニップルの長さを確保できないし、その狭い隙間にヒートエクスチェンジャーとポンプを新設するのでできるだけ配管を短くし、かつ水漏れ要因も少なくしたかった。

このニップルはとても固く締められていて、室内からではきちんと工具を掛けられずなめてしまう。22mmのメガネレンチに1m単管パイプをかまして外そうとしたが、六角部が薄いのでなめてしまう。ソケットで押しつけながら回してやっと外れたが、錆びていたわけでもないのにかなりの力が必要だった。ディープソケットを持ってなかったのでグラインダーでニップルを切断しなければならなかった。錆が出ている個体はインパクトレンチが必要だろう。

上下とも外し、銅管継手で分岐配管を製作して取り付けた。

銅管継手は塩ビパイプ継手よりは多少高価で入手性も悪いけれど、肉厚が薄く場所を取らないし、接着剤で固めてしまうとやり直しが効かない塩ビパイプと違いバーナーで半田を溶かし直せば何度でもやり直しがきき微妙な角度調整もできる。

接着剤が乾くのを待つ必要もなく水で冷やせば即使用可能なので、現物合わせで試行錯誤しながら製作するには最適な素材。

銅には殺菌作用もあるので、カビだらけのビニールホース配管を全て銅管に置き換えたい。常時通水していればホースでも問題ないけれど、半年くらいホース内に半端な水が停滞することもあるキャンピングカーでは、どうしても配管内に雑菌が繁殖しやすい。配管はFRPと床板の僅かな隙間を通っているのでうまく通せるか微妙、今後の課題。
取り外したボイラー。でかくて重い。

将来的には家庭用の小型灯油ファンヒーターを分解して瞬間湯沸器の熱交換機を取り付けて湯沸兼FFヒーター兼床暖房 熱源器を製作し、こいつの後釜としたいところ。ちょうどボイラー室の真上が冷蔵庫のベントなので、排気も簡単にできる。温度センサー で排気や周辺温度を監視し異常時はシャットダウンするよう回路を組めば安全性も問題ないだろう。開放型反射板ストーブとやかんのほうが工作は簡単だけど、電子制御されているファンヒーターの方が安全性が高い。

このボイラーはけっこうガスを喰う。夏はシャワー、炊飯と冷蔵庫にしかガスを使っていないのに5kgボンベは1週間でカラになる。充填1回1600円なので逆算するとシャワー1回に100円以上使っていることになる。年に20~30泊で目くじら立てるほどの金額でもないけれど、充填に行くのも面倒だし出先では断られることも多いので、いずれは灯油化して金銭と時間を節約したい。
とりあえずハード面はこれで完成。

これだけでも手動でONOFFすれば使えるけれど、循環ポンプ保護のため制御回路が欲しい。

エンジンONで冷却水ポンプON→冷却水設定温度以上で循環ポンプON→ボイラ水設定温度到達で両ポンプOFF→ボイラ水下限温度で両ポンプON。

水ポンプONで循環ポンプOFF、圧力スイッチOFFで循環ポンプOFF.

これらをアナログコンパレーターとFETのNOT論理回路で設計。でもこれからの時代はPICでマイコン制御かな、と色気に負けつつある。PICも5年前は1個数百円したけれど、今は30円からと、アナログICと等価になってしまった。車載PC にUSB機器として認識させ設定温度を調整したり温度推移を記録してハードの改善に生かせる。PICを習得すればメイン&サブバッテリー 、走行&太陽光&発電機 充電、インバータ、などを車載PC で一元管理するシステムの構築も容易だ。
これからますます寒くなり外作業は厳しくなるのでロデオに触れないのは寂しいけれど、自宅の自作床暖房 でぬくぬくと引き籠もりながら制御回路の設計とPICの勉強にいそしむことにしよう。

まだまだ道半ばといったところ。

この改造でガス代の元を取るのは難しいけれど、走行中はいつでも湯が使えるようになり、沸き上がりの待ち時間も減り、ガスボンベの充填回数も減ればメリットはある。
なにより東日本大震災 を経験して避難生活は他人事でないと感じているし、燃料が2週間全く手に入らなかったので、ガスがなくても湯が使用できエコにもなるのが心強い。
 続く
  
  
  
  
  


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