カヌー をはじめる最大の動機になった釧路川。

昨年の夏にバイクで 釧路湿原をツーリングしたときに流れを見て感じるものがあり(20代にも訪れているけれど感じなかった)、年末にはカヌーを購入 。3月から6回航行し結構無茶やっているにも関わらず天候と運に恵まれ危険な目にも会わず、カヌー の楽しさしか知らない状態でついに晴天の釧路川に到着。気分は絶頂を迎えた。


しかし全ての事象、絶頂の先は奈落・・・。


釧路川下流部のツアーコースは塘路湖から細岡が定番らしいけれど、さらに下流の岩保木水門までの区間はまた違った開放感あふれる展望が楽しめるとのこと。

この圧倒的な拡がりを見せ付けられ、ゴールは岩保木水門に即決。
バイクをキャリアから降ろして今夜はここで泊。

夕日や朝日を時間の制限なくゆったりと眺められるのはキャンピングカー旅のとってもいいところ。

この晩は初めて蛍の光を見て大感動した。
カヌー をはじめなければ川の近くに泊ることもなかったわけで、想定外の楽しみ。河口まで10kmほどのこんな下流にいるなんて思ってもないので、最初はついに俺も歳で目がおかしくなってきたか、と思った。常に10程のLEDのような光が草むらでほのかに点滅したり、尾を引いて空を舞っていた。
朝もやのなか優雅に朝食。

バイクはここに置いて上流へ出発。細岡がゴールならJRでスタートまで戻れるけれど、ここは駅まで5km以上あるのでカヌーでゴールしたらバイクでスタートのロデオまで戻り、ロデオにバイクを積んで再びカヌーを積みにここに戻る。
スタートは茅沼から。


駅のすぐ裏手にちょうどいい砂利のスロープがあるけれど、開発局の工事標識があったのでカヌーポートというわけではなく、旧川復元事業の施設のようだ。一度人為的に直線化した釧路川をまた元の蛇行した流れに人為的に戻す工事らしい。右に積んだ石を左に積みかえているだけのような気がするんだけど、お上の考えることはよくわからない。
事業区間が終わると様相が変わり、豊かな林相になってきた。

豊かな森のなかをゆるやかに流されていく。

なんとものんびりしていい感じなのだけれど、水は泥で濁っている。泥といっても関東のようなヘドロではなく自然の泥なので、不潔感や臭いはないけれど、清流ではない。

私は森が好きなので、いろいろな林相を見ているだけで楽しいけれど、人によっては変化が無くてつまらないと思うかも。

緑の回廊を縫っていく感じ。
鴨の親子連れ。うまそー。

意外と動物の気配はしない。魚影や魚の跳ねる音はなかった。
ちょっと印象的な土壁。

このちょっと手前にコッタロ川との分岐があったはずなのだが、気がつかなかった。遡ろうと思っていたのに残念。

このあたりになるとコッタロ展望台への砂利道道の通過音が響き、雰囲気ぶちこわし。
本流のカーブの外側が取り残されて沼原のようになっているところがあったので入ってみた。

今まで無かった湿原らしい光景に、ちょっと和ごむ。

水深は10cm位しかないけれど、幅広平底のカナディアンカヌーだと中央に座れば底を擦ることはなく、かなり岸辺まで寄ることができた。

川の流れもいいけれど、穏やかな平水面もなかなか。
細岡が近い。だいぶ下ってきたので林の様子も変わってきた。
またちょっと寄り道。浅く狭いところでも気楽に入っていけるのがカヌーのいいところ。

ここはかなり先まで開けていて、大湿原の終端という感じだった。

このあたりは鹿の楽園といったふうで数匹走り回っていた。
久著呂川の分岐を見つけ、遡ってみた。
久著呂川を100m程遡った所で初めて聞く動物の声。

これが有名な丹頂鶴かな。
父鳥?は見晴らしのよいところで見張り。

父:「へんなやつが来たぞ、早く隠れろ」
子:「ちょっと待って、これ食ってから。うゎ、もう来やがった、逃げろ」
母:「早くこっちに隠れなさい」

という会話が聞こえた。
昨年の夏コッタロ展望台から この景色を見て、緑の絨毯の中の池塘を散歩したい、と思っていたので、まさに念願がかなった。

写真の場所ではないけれど、きっとこんな感じでしょう。
釧路川本流にはあまり動物の気配はないけれど、久著呂川に少し入ると数種類の鳥や獣の鳴き声に取り囲まれる。まるで動物園のようだ。いや、これが本来の自然の姿で動物園のほうがなんちゃって、なんだけど。

バウの先に見える踏跡は鹿の通り道。
久著呂川は釧路湿原のど真ん中を流れる釧路川の支流だけれど、1970年代に農地開発のため直線化工事が行われたとのことで数キロにわたり真っ直ぐに続いている。40年の歳月はほとんど人の手が入ったことを感じさせなくしていた。

もっと遡りたかったけれど、既に夕刻になっていたのと、本流に比べればはるかに緩いとはいえ流れがあり遡るのに体力を使うので、適当なところであきらめた。
釧路川本流も雄大でいいけれど、支流は景色の変化が豊富でおもしろかった。今回分岐を見落としたコッタロ川やヌマオロ川もいつか遡行してみたい。
この日は結局8時間も川の上にいたので、バイクでスタートの茅沼に戻りロデオで戻って来たときには真っ暗でカヌーを積む気力も残っておらず、この昭和6年製の渋い旧岩保木水門前で前日同様蛍の光に包まれながら平成6年製ロデオで就寝。

7月とはいえ夏休み前の平日だったので、カヌーの着艇は数組しかなく朝夕の短時間地元の釣師が数人訪れるだけの静かな場所だった.

あれ、奈落は・・・と思った方、お待たせいたしております。奈落の後編へ と続きます。






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