尾瀬を水源とする豊富な水は先々週の奥只見湖(銀山湖) に集められさらに下流で周辺の水源を統合しつつ田子倉湖に再度集まる。

奥只見湖(銀山湖) に勝るとも劣らないスケールを持つ田子倉湖をまる1日かけて全周し、大満足のうちにダム湖シリーズ第2弾を終了。
只見沢の口にある町営の休憩所(簡易トイレのみで水道なし)駐車場に前泊して用意を整え、朝一から出航できるように備えた。
カヌー を降ろし装備をして日没を迎える。


バイクの旅 のために購入したはずのロデオも、すっかりカヌー専用車となってしまい、今年1度も使われていないバイクは排ガスにまみれ黒いオブジェ化。一応いつでも使えるようにオイル交換だけはしてあるけど、7月の北海道で初出動あるかな?川下りの復路だけのような気がする。

他の交通を気にせずマイペースで自然を楽しむのが目的で、土の上か水の上かの違いだけなんだけど、林道が年々少なくなっている現在、水の上は最後のフロンティアなのかも。
只見沢口にはスロープがあるが、砂利道で荒れていて入口に巨大なコンクリート塊で車止めされている。担ぐかカヌーキャリアに載せるかでないと出艇できない。一輪車のタイヤと塩ビパイプで自作したキャリアが役に立った。

場所は田子倉駅のすぐ北西、国道252号の橋の下なので分かりやすいけれど、車止めから50m位かなり急斜なのでキャリア利用が吉。

今回長めのダプルパドルを初めて使ったら、楽々シングルパドルの倍のスピードが出て驚いた。シングルパドルは川下りで船をコントロールするもので漕ぐものじゃないな。
午前中は残念ながら雲に覆われたけれど、風が全くない穏やかなコンディション。
鏡のような水面を切って走るだけでもかなり面白い。

そこに豊かな自然と絶景がついてくるんだからハマらない訳がない。
ちょっと上陸してトイレタイム。

奥只見湖(銀山湖) と違って上陸できる場所があってずいぶん楽だった。乗っているときに疲れることをしているわけではなく、パンやコーヒーを飲み食いして余裕のクルージングだけど、ずっと同じ体勢でいるのはやはりつらい。

ちょっと海賊の隠れ島みたいな雰囲気?
ちょっと沢を遡ると小さな滝があった。

ここなら飲み水にも(水)風呂にも困らないな。海賊の拠点としてうってつけ?
10km近く上流へ遡るとだんだん幅が狭くなってきた。

源流に近付く予感のなか前方に異変が!
幅いっぱいに埋め尽くす浮遊物、うげぇー。

船外機は水冷なので、こんなところで使ったらインペラや冷却系統が詰まりそう。

こりゃ引き返すしかないか、と思ったが、この先になにかあるような予感がしてパドルを握る。流木にひっかかってなかなか進まず、跳ねあげた泥を被りながら20mほどのデブリ地帯を10分くらい掛ってなんとか突破した。
予感は的中。

信じられないような別世界が広がっていた。
今までと全く違う底まで透き通る水。

水が違うせいか、緑の色が他の場所とは違う。
上流に向かうにつれ、更に水は透明に、緑は鮮やかになる。
地図を見ると、抱返りという地名が付いている。

自然に抱かれて先祖返りしたような心地がした。

船でしか行けない、まさに秘境。
なんともいえないグラデーション。
至福の一時。
秘境を満喫し帰路を取ると雲が取れてきた。

曇天でさえあの美しさ、晴天なら光の角度で七色の輝きを見せてくれるだろう。いつかまた来るときの楽しみにとっておこう。
いったんロデオに戻り昼食タイム。

田子倉湖は主に二房に分かれていて、午前中は抱返りが源流の房を周り、午後は奥只見湖(銀山湖) が源流の房を周る。こちらの方が大きく距離が長いのでダイナミックな景色が期待できるが清流は望めない。
快晴のなか只見沢口を再出発。バックは浅草岳。
こちらの房に入るとすぐに大雪渓が見えてくる。
大雪渓の終端に接近してみる。

デカイ!そうとうに大きい。
更に近づく、弩迫力!

冷気がここまで伝わってくる、半袖の陽気などなんのその。
危険ここより立入禁止の看板が心の中に浮かんでくる。
決して真似しないでください。

今ひとかけらでも塊が落ちてきたら小さいカヌーはタイタニックより簡単に沈み、奥から流れてくる限りなく零度に近い水のなかに一瞬のうちに投げ出されディカプリオのように真っ白くなって湖水に沈んでいくんだろうな、とかなりビビりつつ誘惑に負けて潜りんだ。単に怖いものみたさ、ってやつです。
ヒェー怖かった。

体温が10℃は下がりました。36.5℃下がらなくて良かった。
遥かな高山を眺めながら広大な湖を淡々と進む。
とにかくどこを見渡しても遥かな山々。最寄りの車道からは10kmは離れている深い山中。
あいよしの滝。
高さ10m程、直接湖に落ちる滝は珍しい。
夏なら頭から被るだろうな。
これだけ広い場所で波一つないのは珍しい。
3時のおやつタイム。

湖岸はすぐに深く落ち込んでいて、なかなか上陸ポイントはない。

焚き火の跡と物干しロープが張ってあった。
だんだん幅が狭くなってきた。
源流が近い雰囲気。
ドラム缶のフェンスがある。

近づいてみると左側の暗渠から大量の放水があり、フェンス内はかなり波が立っている。本流と放水がぶつかり合い複雑な流れを形成し、フェンス内には反流も認められる。

行けないこともないが、万一転覆したらこの水温では助からないし、この先に小規模ダムがありその施設であることが推測されたので、もう見どころはないだろう、と判断。今回は予感より恐怖が勝った。

地図で確認すると、青い橋が下大鳥橋で、その先200mほどで大鳥ダムだった。
通ってきた国道252号がまるで城塞のようだ。
帰りの国道252号の高台からさっきまで浮かんでいた湖面を見下ろす。
さっきあの雪渓の下に潜ったんだよなぁ。

さて、ダムシリーズ第3弾は奥利根湖。梅雨の晴れ間を狙う。

つづく。


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