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 キャンピングカーにトイレはいらない、という人も多いけれど、私はトイレのためにキャンピングカーを買ったようなもの。

 屎尿の量及び回数は人並みですが、大自然の中できるだけ人が来ないところを好んで連泊地にするので、数日間外部からの補給を一切受けずに自立した生活をいかに効率的に営めるか常に考えている。

 川の水を飲み野糞をして魚を釣って生活するのも良いけれど、天候や釣果など不確定、不効率要素が多すぎて体調をベストに保つことが難しいし、バイクカヌー で遊ぶ時間が確保できない。風貌を清潔に保つことが難しいので不審者扱いされることもあり、ある意味治安を含めた環境に依存しているとも言え、この延長上にあるヒッピー的な旅人(最近は少なくなったが北海道には現存する)スタイルは自立とは逆の存在と考えている。

 外食、外風呂は金銭、時間効率が悪く体調に影響が出やすいし、大自然にどっぷり浸かっているという錯覚?から覚めてしまう。
 ロデオは体調を万全に保つための調理 、暖房設備と、心身を清潔に保つための温水シャワー、トイレが国産キャンピングカーでは現在でもトップレベルに充実している。冷凍冷蔵庫(90L)やグレータンク(110L)の容量からはYMSの本気度が伺え、環境への依存を最小にすることができる。
 排泄はあまり語られることがないしできれば避けたい話題ですが、実は自宅を離れて生活するとき最も真剣に考えなければならない問題です。

 最近は街中であればコンビニなど誰でも利用できるトイレには不自由しなくなったけれど、私が子供の頃はコンビニなどなく、外で催しても自宅まで我慢するしかなかった。最近は排泄を我慢するということが日常生活でなくなったため、肛門括約筋が退化して催してから我慢できるのはせいぜい1分がいいところ。これではキャンプ場や高速SA、道の駅などトイレ付駐車場に泊ったとしても、トイレまでたどり着くことができない。就寝中に催して寝ぼけながら足元おぼつかず外に出るのはイヤなものだし、雨や冬なら修業ですらある。決まった時間にしか催さないという人も、旅先ではリズムが狂うもの。私も日常生活では毎日朝食後5分以内に必ず排泄するけれど、長時間運転した直後就寝した翌日は、交感神経が安まっていないのだろう、昼過ぎになったり排泄が無かったりする。
 このことがうすうす解っていながらトイレのないキャンピングカーを購入したり、ワゴン車を車中泊仕様に改造したりするのは、臭いものには蓋をという思考停止か、又は、トイレのない不便さよりも、車内の臭いと溜まった排泄物の処理が不安なのでしょう。私も過去にエスティマを車中泊仕様に改造するという誤りを犯しています。

 カセットにはシャッターがあり、その上に常に5mm程の深さの洗浄液が溜まるようになっているので、臭いは全く漏れません。問題は排便時シャッターを開けた時で、完全密閉されていたカセットから猛烈な悪臭が立ち上がります。わずか数秒であっても車内を臭気で満たすには十分な威力で、3日も寝かせた便ならば、その臭いは数十分は取れることがありません。
 このため居住空間から十分に隔離された換気設備付トイレルームは必需です。ロデオはこの点十分考慮されていますが、トイレ設備のない車にポータブルトイレの後付けは最悪です。シャッターの上に溜まっている洗浄液はカセット取出し時に周辺にこぼれますので、カセットが車外から取り出せないのも大きなマイナスです。非常用にしてはかさ張るし、それなら処理が楽な使い捨てタイプでいい気もします。
 シャッター開時の悪臭を緩和するため消臭剤が必需です。

 カセットトイレ消臭剤の代表格はアクアケムですが、私は入手が楽で安価な介護トイレ用消臭剤を使用しています。アクアケムは便の分解を促進するタイプなので、分解時に出る悪臭をごまかすため消臭剤自体もかなり薬品臭いらしいですが、便の長期保存?に適していますし溜まった排泄物の処理が楽です。介護トイレ用は逆に分解を抑制するタイプで薬品臭さもあまりありません。私はウィンドウォッシャー液と水と消臭剤を100:100:1で使用しています。ウィンドウォッシャー液はメタノールと界面活性剤なので、やはり分解抑制と洗浄コーティング効果があります。分解を抑制するので強烈な臭いは出ませんが、日に日に臭いが強まるので早めの処理が必要なのと、処理時にブツが走行振動で細切れになるものの形を留めて出てくるので心理的に辛いです。途中でひっかかって出てこないブツがあるので何回かすすがないと完全に綺麗にはなりません。
 排泄物の処理ですが、これは最近高速SAでは完備されPAや道の駅でも整備されつつあるオストメイト対応トイレでの処理が最も安心です。

 オストメイトとは人工肛門のことで、本来は障害者のための設備ですが、処理は1分少々で終了するのでちょこっと拝借しています。普通のトイレでは捨てるだけですすぐことができないし、腰を屈めて重いカセットを持つ辛い体勢で大量の排泄物が勢いよく出ますので、油断すると便器から溢れます。自宅の狭いトイレで処理するのはかなり危険です。
オストメイト対応トイレでは温水シャワーでカセットをすすぐことができますし、立ったまま使用できる位置にあり便器も深いので溢れる心配がありません。排泄物全量を一気に投入できるので、捨てるのは10秒で終了しブツと目が合ったり?悪臭が拡散することもありません。

 目的外使用にあたることは認識していますが、普通のトイレで溢れさせ悪臭を撒き散らすよりはマシです。身障者トイレ内にあることは稀で、広めの普通のトイレルームに増設されているか、単独で設置されていることが多いです。副次的有効利用と解釈していだだけるとありがたいものです。
 公共のトイレでカセットの処理をしてはいけない、という論調が多いのですが、公共トイレから見れば数十回のトイレがわずか1分の占有で済むのです。トイレのないキャンピングカーで車中泊して公共トイレを何度も使用するより迷惑はかかりません。

 それでも一般の方から見れば、しかめっつらした(汚物を持ってニコニコはなかなかできない)男性が見慣れぬコンテナを持ったまま公共トイレルームに入る行為は、かつて日本中を震撼させた事件を連想させてしまうのでしょう。

 おおっぴらにOKとは言いませんが、混雑時を避け夜間などに人目を避け遠慮がちに処理する分には黙認いただきたいものです。生理的現象である排便とは違い処理の時間と場所は自分で決められるのですから、できるだけ他人に不快感を与えない努力はするべきだと思います。
 キャンピングカーで旅をすると、多かれ少なかれ施設の目的外使用という問題に行き当たります。高速SAや道の駅での宿泊、公衆トイレや公園からの給水、ゴミ処理、公共の場で発電機使用など、トラブルの種は尽きません。
 オートキャンプ場だけを事前計画のとおりに利用するのであれば問題はありませんが、私は計画や時間に縛られず非日常を楽しむことこそキャンピングカーの真骨頂と思っていますので、日常の延長のような旅行なら旅館やホテルを利用します。

 さて、前述の行為を明文で禁止しているところはそう多くはありませんが、混雑したPAでサイドオーニングを出してBBQしたり、観光バスが横付けしている公衆トイレの水道からホースを引っ張ったりしていれば、白い目で見られますし勇気ある?方からは小言のひとつも言われます。常識で判断しろ、と言われても多くの人にとってはキャンピングカー自体が非常識ですからこれほど残酷な物言いもありません。
 さて、最近人気映画シリーズ4作目が上演開始となったパイレーツ・オブ・カリビアン。2作目と3作目は年間興行収入世界一を達成していて4作目も(DVDを)期待しています。
 1作目でキャプテン・ジャック・スパロウは「行きたければどこへでも行く、それが船ってもんだ。帆やキールは船に必要ってなだけ、船とは、ブラックパールとは、自由だ」とエリザベス・スワン(♀)に酔ってクダを巻きますが、船をキャンピングカー、帆やキールをエンジンやサスペンションと置き換えると妙に合致します。海賊行為は法を犯し、利益を損ね、人を傷つけます。ならば海賊をカッコ良く表現しているこのシリーズがなぜ世界一の人気なのでしょう?
 この映画がよくある勧善懲悪物であれば、愛と正義のウィル・ターナが心臓を差し出して悪魔と契約したディビー・ジョーンズをやっつけてエリザベスを救い出すのがメインストーリになるでしょう。そういう線もありますが、もっと太い線として法を追求するジェームス・ノリントンや利益を追求するベケット卿が理念の高さゆえ自己崩壊していく、人とは法や金で縛れるほど便利なものではないという現代社会に通じる風刺があります。一方自由を追求するジャックは裏切られ、絞首刑に処され、悪魔に喰われと高い代償を払っています。自由はお気楽なものではなく掟や心得といった言葉にも見られるように極めて厳しいものです。
  法と利益がさらに幅を利かせている現代にあって、全国の観光地は官民一体の巧妙な課金システムとなっています。一等地には庶民の金銭感覚からかけ離れた宿泊料が設定され、部屋の景色によってあからさまな価格差が付けられます。美しい景色に緩んだ財布を狙って物産、娯楽、飲食店が通常の金銭感覚では有り得ない値札を付けて待ち構えています。庶民はわずかな休日と給料を犠牲にして身分を思い知るだけです。
 ベケットに独占された景勝地の美しい景色を頂戴しに、キャンピングカーで乗り込みましょう。幸いノリントンが権限拡大のため整備した立派な道路や道の駅などの駐車場があります。観光地に金を落としてくれる人のためのものですが、税金を投入している以上直接課金はしづらい、そこにつけ込むのです。
 ベケットやノリントンの子分は施設を日々清掃維持しています。そこに我が物顔で乗り込まれておもしろいはずはありません。法が未整備なので正面切って文句は言いませんが、常にこちらの隙を窺っています。卑屈にならず、尊大にならないために、掟や心得を守ることが心の平静を保ちます。掟や心得は他人に強制されるものではなく、自ら課すものです。子分と接触してしまったら、よく話を聞き、「よくわかった。俺はこう思う。じゃあな」と対応しましょう。ジャックのようなあざやかな対応は難しいですが、心が自立していないとああいう対応はできません。
 

 私の旅の心得のひとつに「自分のケツは自分で拭け」があります。自己責任のことを指す言葉ですが文字通りの意味でも重要です。高齢者の尊厳を最も奪うものは排泄介助と聞きますが、シモの処理に自信がないと人は心が自立できません。自由な旅を追求するためにカセットトイレはなくてはならないものです。


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