支笏&積丹ブルー の旅でブレーキパッドの残量が無いことに気付かないまま北海道へ渡ってしまいローターまでも削ってしまうという大失態をやらかした。

4躯はハブをばらさないとローター交換できない。ここはひとつ覚悟を決めて今まで手付かずだったハブベアリングのグリスアップ、ハブオイルシール交換、キャリパオーバーホール、ブレーキホース交換をまとめてやってしまうことにした。
これが整備前の状態。錆びの塊。

キャリパーを外すと、上のスライドピンが固着していた。
過積載のせいでたった2万キロでパッドが無くなったのかと思っていたけれど、左側を点検してみるとパッドは8分以上残っている、片ぎきしていた感じもなかったし。戻り不良で急激に磨耗したっぽい。
まずはマニュアルロッキングハブを取り外す。
10mmのボルト6本と8mmのヘキサゴンボルト6本を外しサークリップを外せば抜くことができる。
ハブナットロックワッシャの3本の4mm*8mmのプラス皿ねじは舐め易いのでインパクトドライバ必須、インパクトを使用しても写真のとおり+が変形してしまうので新品の皿ねじも用意しておいたほうがいい。ホームセンターで安価に手に入る一般的なサイズだ。
ハブナットは強く締まっているわけではない(締めすぎるとハブベアリングが逝かれる)のでユニバーサルホルダで簡単に取り外すことができる。
キャリパホルダを取り外してからローターごとハブを引っこ抜く。ちょっと揺すれば簡単に外れるけれど、アウターハブベアリングを落とさないよう注意。

シャフトに少しベアリングが食い付いた後がある。おそらく18年間一度も開けられたことはないのだろう。グリスは茶色の液体と化していた。
ハブとローターを結合している6本のボルトを取り外す。

プレスか万力など、強力に固定する道具がないとここの取り外しは難しい。
ボルトを取っても18年間の錆びで固着して外れない。

プレスで少しずつ隙間をこじ開けてなんとかローターをハブから分離することができた。
新旧ローターの比較。

純正1枚の値段で左右セットで買えるディクセルを22050円送料税込みでポチッた。

厚みはまだまだ使用限度の20.6mmに達しておらず、そんなに変わらないが、
鉄パッドで削った跡が悲しい。

多分これくらいなら研磨すれば使えるだろうけど、旋盤は欲しいけど持ってないし、外注すれば5000円は掛かるのでポチッてしまった。

この程度でもブレーキングの度に左にハンドルを取られるほど効きが悪くなってしまう。
内側はまだパッドが残っていたけれど、長年の腐食は隠せない。
錆び錆びのハブだが中のベアリングとレースは良好だった。

ベアリング品番は
アウタ KOYO HI-CAP 32009 JRYAI
インナ    〃     57407-N
と読める。

純正部品よりベアリング屋で買えば半値以下なので確証が持てる方は参考にしてください。

ベアリングはパーツクリーナとエアガンのダブル攻撃で徹底的に古い鉄粉入りグリスを落とした後、たっぷりと新しいグリスを内側まで行き渡るように塗りこむ。
研磨パッドで錆を落としてからシャーシブラックで塗装。
ここが緩むと大変なのでトルクレンチで均等に締め付ける。

外すときはプレスで固定したけれど、万力でこのように固定したほうがずれない。ディスクが変形しないか心配だったけれど、サービスマニュアルでもこのように固定していたので問題ない。
ハブオイルシールは新品を組み付け、こんな部品も社外品が出ていてわずか400円で購入できる。モノタロウ恐るべし、ブレーキホースやパッドなども買える、サンデーメカニックにはいい時代になったもんだ。

外すときは大きめのマイナスドライバーでテコの原理で一箇所引っ掛けながらグリップをハンマーで叩くと簡単に外れたけれど、径が大きいので叩いて挿入するのは難しそうだ。叩くとシールのリップルを痛めるし入ったように見えても微妙に捩れていそう。均等に圧入できるプレスが今回大活躍した。ストレイトで15000円程の安物だけれど、ベアリングやオイルシールの圧入をはじめいろんなものを抑えたり、タイヤ交換の際ビートブレーカー代わりに使ったり意外と用途は広い。
ハブを組み付ける前に錆を研磨パッドで落としてシャーシブラックを塗布する。

ゴム部品を塗料で痛めないようにペーパータオルでマスキング。
シャーシブラックをたっぷり2缶使って2度塗りした。
ハブとアウターベアリングを取り付けハブナットを締める。

ここは3kgで締めた後いったん完全に緩めてからプリロードを2kgに合わせ軽く締める。

100均ショップのばね量りでホイールピンを引っ張って2kgで回り始めればOK。

ばね量りの精度が不安だったのでペットボトルを吊るしてみたろだいたい2kgだったので大丈夫でしょう。
ハブナットロックワッシャとキャリパサポートを取り付け。

ハブナットロックワッシャを留める3本の4mm*8mmの皿ねじは外すときどうしても+が変形してしまうので次回舐めて泣かないように新品使用が吉。緩むとホイールが外れてしまうかも。
キャリパも徹底的に錆落としをしてシャーシブラックを塗布してから作業に入る。

サビサビのまま作業するとシリンダにゴミが入ったりとロクなことがない。
クラッチのスレーブシリンダ の時のようにサビサビを想像していたけれど、ラッキーなことに意外と綺麗だった。シリンダ壁面に僅かにピストンの擦れ跡があったので1000番の耐水ペーパーで修正し、ピストンシールとダストシールの溝に溜まったゴミを除去。
ピストンは全くもって問題なし、捩れないようにピストンシール、ダストシールを溝に入れて抜け防止のロックリングをはめてゴムブーツを取り付ける。
新品のブレーキホースとパッドを取り付け、フルードのエア抜きをして作業完了。
今のところ動作に問題はない左側、錆だらけで精神衛生上よろしないのでこちらもオーバーホールしたいけれど、右の整備に4日も掛かってしまった。半分は錆落としの作業に取られる。初めての作業で考えながらやっていたので次は2日あればできるだろう、けれどストレスが溜まったし、ロデオもこれで出動可能になったので遊びに行きたい。
次に右をばらすのはドライブシャフトブーツを交換するときかな。
今のところ亀裂などはなかったけれど、18年物なのでいつ切れてもおかしくない。


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