シャープの全自動洗濯機ES55シリーズ。
世間ではドラム式全自動乾燥洗濯機が流行ですが、私は主に衛生面からこの洗濯機が現在でも最強だと考えています。
この洗濯槽には穴がありません。ドラム式も含め、現在市販されている洗濯機で穴がないのは二槽式とシャープの「穴なしクリーン槽」だけです。
これはシャープが特許を取得しているからなのですが、ありがたいことに特許だからといって特別このシリーズの市場価格が高いわけではありません。シャープは宣伝下手なのでしょうか。
穴がないのにどうやって脱水するのでしょうか?秘密は内槽の最上部にある穴にあります。脱水の遠心力で縦溝を這い上がった水はここから外槽へ排出されます。

もちろんご想像のとおり内槽全面に穴がある普通の洗濯機より排水効率は落ちます。具体的には化繊の洗濯物が木綿並みにしか脱水されません。私はガス式乾燥機を使っていますので気になりませんが、電気式乾燥機だと乾燥にかなり時間がかかると思います。また、室内干しが多い人だとなかなか乾かないでしょう。
全自動洗濯機は外槽と

節水穴なしクリーン槽の場合、外槽は脱水と泡落としすすぎのオーバーフローしか水を受けませんので薄いプラスッチックでできており、本体を軽量コンパクトにできます。
内槽から成っています。

内槽のなかは洗濯の度に洗濯物がふき取るためあまり汚れませんが、内槽と外槽の間にはすぐに洗剤の残りかすと洗濯物の脂をエサに水垢が繁殖し、さらに放置するとその死骸をエサに黒カビが発生します。

この状態になるのに数ヶ月程度です。黒カビはまだ発生していませんが、洗濯機のなかに頭を突っ込むとドブの臭いがします。
シャープの穴なしクリーン槽なら洗っているとき洗濯物はこの水垢と隔離されていますが、通常の洗濯機は一緒の水に浸かって洗っていることになります。

こすらず落とすお風呂用洗剤を吹き付けて数分漬け置きしたあと力いっぱいこすり洗いします。
風呂掃除を一ヶ月しないと水垢がこぶりつきいやなものですが、洗濯槽分解清掃を毎月やっている人はほとんどいないでしょう。

考えてみれば風呂に入っているのは1日30分程度ですが、この洗濯槽で洗ったものをわたしたちは24時間365日身に着けているのです。寝ているときはこの洗濯槽で洗った寝具に無防備に包まれています。

これくらいの汚れならひと拭きで落ちますが、細かい溝や穴のなかは歯ブラシでこすり落とします。初めて数年使った洗濯機を分解したときは黒カビが全面にこぶりつきものすごい異臭を放っていました。その時のショックは今でも忘れません。「洗濯機 黒カビ」等で検索すれば衝撃的な画像が多数紹介されていますのであえて汚い写真は載せません。一度でも分解してみれば、市販の洗濯槽クリーナーなど気休めにしかならないことがすぐわかります。

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内槽も顔が映るほど磨き上げます。晴れた日にすると気持ちいいです。
小物部品は凹凸が多いので歯ブラシを多用します。

右端の部品は糸くずネットの土台部品ですが、黒カビが発生するとまず洗濯の度に糸くずネットに黒い粒がひっかかるようになります。そのような状態ではこの部品の裏側は表面が見えないくらいびっしりと黒カビに覆われています(過去に経験済)。
ついでにやっておきたいのが洗濯槽を吊るしているダンパーロッドのグリスアップ。

4本でモーターを含め構造部品のほとんどを吊るす構造になっています。脱水時洗濯物の偏りによる片揺れなどスプリングで吸収しきれない強い衝撃がかかると注射器のような構造の白い容器内の空気が圧縮されふんばるようになっています。

長年使用していると注射器のピストン弁が磨耗して空気が漏れスカスカ状態になります。また洗濯槽が垂れ下がって低くなり、横揺れが収まりにくくすぐに脱水エラーになって停止したり、必要ない再注水を繰り返したりします。

グリスを可動部分に塗ると気密が復活しますが、ピストン弁は磨耗しやすいので定期的にグリスアップしないと1000回程度の洗濯で気密が保持できなくなります。
定期的な分解清掃を勧めてきましたが、分解はとても簡単です。
必要な工具は+ドライバ1番と2番、ソケットレンチ10mmだけです。
外したねじを置いておく磁石トレーがあると便利です。

まず、+2番で操作パネルカバーの4箇所のビスを外します。
初めて分解する時はミスを防ぐため面倒でも屋外の作業スペースがいいでしょう。この洗濯機は34㎏あり、男性ならなんとか一人で持ち上げられますがこれ以上大きなサイズだと引きずって床や壁に傷をつけてしまったりといいことありません。

慣れれば洗濯機の上に乾燥機などが無ければ内槽だけを取り出して屋外で清掃し、外槽は設置場所で洗浄できます。



操作パネルカバーの手前側を上に持ち上げて外し奥側へ倒します。思いっきり倒さなければ配線やパイプで支えた状態のままで大丈夫です。

ダンパーロッドは4隅にある緑色のものです。ひっかけてあるだけでねじなどで留まってはいません。洗濯槽を持ち上げながら上→下の順に引っ張って外します。内槽を取り外してから作業した方が持ち上げやすいです。この写真は既に内槽を取り外したものです。

脱水エラーがあまりに頻繁に起こる場合、写真右上のホースを引っ掛けてあるプラスチックの棒が片揺れ感知スイッチですので、ドライヤーなどで熱して変形させることで感度を低くしてエラーを発生しにくくできます。ただし変形させすぎると豪快に洗濯機が揺れても停止しませんので回りの壁を傷つけたり設置位置からずれて排水漏れの原因になったりします。モーターにも過負荷となりますのでダンパーロッドの調整か交換がお勧めですが裏技です。



次に洗濯槽のカバーを外します。4箇所プラスチックフックで引っかかっているだけなので手で外せます。
真ん中の+1番ねじは固く締まっているので思いっきり下に押し付けながら反時計方向に回します。モーターが共回りしますがうまく反動をつけると緩みます。操作パネルカバーを外すのに使った2番ドライバーは絶対に使わないでください。最悪ねじが潰れて外せなくなります。
ねじが外れてもプロペラはスプラインシャフトに固着していてなかなかとれません。羽根を掴みながら根気よく揺すってやると突然パカっと取れます。

中央のスプラインシャフトの周りに4本の10mmボルトがありますので全て外します。
4本のボルトを取ると内槽を取り外すことができます。中の黒いものは厚さ1cmくらいの鉄板で重いです。状況により内槽側にくっついて外れることもあります。取り付け位置はマーキングしておいた方がいいです。
内槽を適当な作業台の上に置き、上についているプラスチック製の重りを外します。鉄板のストッパーが1箇所付いているので+2番で外したあと、かぎ状になっている分1cm弱時計周りにずらしてから上に引っ張ると外れます。
ちゃぷちゃぷ水の音がしますが、洗濯水の残りではなく重り代わりに液体が入っているようです。
洗濯ネットの土台部品は内側2本と外側5本の+2番ねじで固定されています。

内側は一番底に2本あります。
外側にも5本ありますので外すのを忘れてむりやり引っ張って壊さないように。
コツを掴めば2時間程度の作業です。これで新品状態に戻るなら安いもの。
私は風呂掃除をする気力があったらまず洗濯機を分解清掃します。
毎日朝晩1回ずつは回す、一番お世話になっている家電ですから。

私はシャープの関係者ではありません。
洗濯機をこよなく愛する一市民です。


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