九州は天草の南端には牛深海中国立公園に指定されてる一帯で珊瑚を鑑賞できるとのこと。マイカヌー を手に入れたからには珊瑚の海をのんびり散歩したい。最後の高速休日1000円を利用して片道1800km9日間の旅。
さすがに1日で1800kmは無理なので、中国道の途中で適当なP泊地を探したところ、湯原ダム直下の河原に湧く露天岩風呂「 砂湯」は全国露天風呂番付で「西の横綱」にランクされているとのことで、しかも24時間無料。川沿いに広めの駐車場がありキャンピングカーも多数駐車していた。そこには同型ロデオの姿もあった。夜中着だったので声は掛けなかったがちょっとうれしい。清流沿いで静かないいP泊地だった。温泉も土曜日とはいえ雨の降る夜中にも関わらず大賑わい。晴れていたら芋洗い状態でP泊もできなかったかもしれない。川沿いで巨大ダムを見上げながら温泉に浸かるというのも奇妙な体験だった。
天草諸島の西端、白鶴浜という名前の通り白砂とエメラルドグリーンの海が綺麗な入江を見下ろす十三仏公園駐車場に5泊し、入江にカヌー を置いて毎日あちこちに出航して海の散歩を楽しんだ。
50台以上駐車できる広大な駐車場だが、3ケタ国道からさらに1km入った所にあるため連休期間を通して10台以上駐まることもなく、夜間は静寂そのもの。トイレがあり水も補給できるし眺めも最高なので、このまま住み着きたいくらい快適だった。この冬に洗濯機ガス乾燥機 を車載し毎日洗濯して洗いたての服を着用することができるようになったので、もう全く家にいるのと変わらない生活を送ることができた。今まではコインランドリーに行く時間を節約するため数日我慢して同じ服を着たりしていたが、やはりかなりのストレスになっていたことがわかった。
駐車場から5分下るとそこは浜。
置きっぱなしにしてあるカヌー に今日も乗り込む。5分も航行すれば美しい海岸景観が楽しめる。白鶴浜の北側にある妙見浦という景勝地を自在に航行する。
カヌー なら余裕でくぐることができた。
洞窟内から。波の音が反響してなんともいえない感覚に襲われた。

自然の景観のなかを自分の船を操っていく快感はテーマパークのアトラクションなんか比較にならない本物の迫力!
3月に処女航海 した時に気付いたのだが、普通に船尾のベンチに座って船外機をハンドルバーで操作すると、アクセルを半分以上開けると船尾が推進力で沈み込み、船体がウィリー状態になって抵抗が大きくなりスピードが出ず、前が見えないしひっくり返りそうな気がする。普通の船外機船は船体中央から船尾にかけて寸胴だが、このカヌー は船尾が細く絞られているため船尾浮力が十分に得られないようだ。そのかわり船尾に腰かけてパドルで漕ぐのは普通のカナディアンカヌーと同様にやりやすいし速度も出る。

 荷重を前方にかけるためにワイヤーを船外機から2mほど前方に通して足ペダルを船首に設置し船体中央底部に直接座って船首に投げ出した両足で船外機の向きを変えることができるようにした。
スクーター用のアクセルを流用して船体前方に設置。下の青いワイヤーがさらに前方の足ペダルにつながっている。詳しくはカヌー のページをご覧ください。アクセル全開でも船首が上がらなくなり、スピードや安定性が格段に向上した。足でペダルを踏み込んだ方へ素直に曲がっていくので別の乗り物になったような面白さがある。船体中央の横棒(ヨーク)下に足を通してヨークにつかまる体勢になるので波で激しく船体が揺さぶられても振り落とされる心配がなくなったし加減速時は体を支えやすい。
どこにでも上陸できるというのは本当に自由だ。

モーターボートなら荒れた外洋でも素早く移動できるけれど、こういう自由はない。シーカヤックでは荒れた海では相当の体力を必要とするし移動速度も遅すぎる。3mカヌー +2馬力船外機は最強に自由な乗り物だと思う。実は金銭的にも一番安上がりだし法律的には手漕ボートなので航行区域や船検等何の制限を受けない面でも究極に自由。これで太平洋を横断しても法的に限定して言えは違法ではない?もちろん海上保安庁のありがたいご指導をたっぷり受けることにはなるだろう。

今日は1日がかり往復70kmの遠征航海で牛深海中公園の法ケ島を目指す。

沿岸は穏やかだけれど湾をショートカットするために数km沖合に出た時は50cmくらいの波のなかを航行した。波頭が白くなる状況だと、船首が切り裂いた波しぶきが全身に掛りまくり、10分に一度は排水しないと水船になってしまう。サイドフロートがあるので沈むことはないけれど、明らかに船足が遅くなってくる。今後外洋を航行するために、上から波を受けても丈夫で軽量な素材(アルミ複合パネル)で甲板(デッキ)を製作し、片側のサイドフロートを1mほど離してアウトリガー化する計画。
数々の島や瀬が連続し、変化に富んだ景観が展開する。

途中の無人島や浜に上陸したり、洞窟に入ってみたりしながら南下した。
魚貫崎、人を寄せ付けないような断崖が続く、にも関わらず近寄ると磯釣りの人が多数岩礁にへばりつくようにしていた。釣りは10歳前後にハマった時期はあるが長続きしなかった。狩猟本能というやつか、あそこまでする情熱はなんなんだろう、まぁ向こうもこっちを同じように思っているだろうけど。
魚貫崎を回り込んだ南側こじんまりとしているけど信じられないほど綺麗な浜に上陸。
 この入り江の海の色、透明度は本当に素晴らしかった。

 実はこの後うっかり不本意な5月の海水浴を楽しんでしまったため、携帯とカメラをお釈迦にするという大失態をやらかした。調子に乗って立ちあがって漕いでいたらバランスを崩してダイブ。ウェイダーを着ていたため、ほとんど濡れはしなかったけれどポケットに浸水。
 そんな訳でこの後の写真はないけれど、予定通り南下を続け法ケ島や築ノ島周辺を回り、透明度の高い海に色とりどりの珊瑚を見て感激した。サイドフロートには手を着いて体重を完全に預けても転覆しないほど浮力があるので、身を乗り出して海底をよく見ることができた。

 景観の綺麗なところではエンジンを止めてパドルでゆっくり漕いで波の音と海底観察を楽しんだ。鏡のような海面を滑るように島々を巡り、ボーっと海上で漂いながら昼食をとる。至福の時、ここに極まれり。
この旅の第一目的は十二分に達成したので九州を離れ、しまなみ海道を抜け四国の川下りのメッカ四万十川へ。

今回挑戦したのは川上がり、遡行ができるかどうか。単独で川下りするのは先に何があるかわからなくて危険だし、下れても上がれない場所は多々あるので、もし難所(堰、滝、瀬や岩場など)が現れこれ以上下れない、となったら船を置いて車のある場所まで下手をしたら10km以上歩かなくてはならないし船が回収不能になるかもしれない。それが嫌でいちかばちかで無理に難所に突っ込み重大事故を起こす恐れもある。
逆に上れても下れない、という場所はないので、上がれるところまで船外機で遡行し、限界に達したらのんびりパドルで漕いで下る、というのが未知の川を単独旅するには安全と考えている。バイクを下流に置いてロデオで上流に行き、カヌー で下流に着いたらバイクでロデオを取りに戻れば単独川下りは可能だが2往復するのは面倒だし、上流域のホワイトウォーターに興味があるわけでもない。ただ森に囲まれた水域をのんびり旅したいだけだ。
四万十川に難所がないのはわかっていたけど、今後全国の川旅をするにあたりこの船にどの程度の遡行性能があるか確認したかった。

河口近くのキャンプ場から出航。さすが全国区の四万十川は河口付近でも大自然の山々に囲まれ下流域という気がしない。流れも穏やかで船外機の出力が負けるということはない。やがて浅瀬に差し掛かり水深が20cm位しかなくなるとスクリューが砂利にあたる音がし始める。もうちょっといけ、と思ったところでエンジン音虚しくスクリューが空回りし船は逆戻りに川下りを始めてしまう。スクリューのシャーピン(回り止めのアルミピン)が折れてしまった。スクリュー保護のため大きな衝撃が加わるとシャーピンが折れることは知っていたけど、こんな簡単に折れるものとは知らなかった。海でも岩礁で何度かスクリューを引っかけたが遠征航海の途中で折れなくて本当に良かった。手漕ぎで上陸はできても交通機関などないところなのでロデオのところまで戻るのにタクシー代が何万円にもなっていたところだ。

敗北感に包まれながらロデオのところまで流され下っていく。

ふん、予備のシャーピンあるもんね。
折れたシャーピンを抜くには少々コツが必要だったけど、慣れれば3分で交換できると思う。再チャレンジでは浅瀬に差し掛かるところで無理せず岸に上陸し、岸沿いにカヌー を引っ張って浅瀬をクリア。人が載っていなければ水深は5cmもあれば抵抗なく片手で引っ張ることができた。ただ浅瀬になっているところは水流も速いので、念のためアンカーをロープを弛ませてもう一方の手で持って万一カヌー から手を離してしまっても流されないよう備えた。最悪自分とカヌー 両方が流されてもアンカーを投げ込めばどこかで引っかかるだろう。

長さ20m程の浅瀬をクリアし流れの緩やかなところで再乗船。
前方数百mは川幅20mほどの穏やかな流れが続く。船外機を全開にすると景色がどんどん後方へすっ飛んでいく。広大な海では2馬力は遅いなと感じたが、川幅20mだとかなりスピード感があり速すぎて操船が難しい。油断すると岸にみるみる近づいてしまうので素早くペダルを踏み込み船外機の向きをコントロールしなくてはならない。美しい景色とスピード感、穏やかな水面を切る快感に酔いしれていたら、コントロールを誤り焦ってつい両方のペダルを同時に思いっきり踏み込んでしまった。片側のペダルがその衝撃で外れてしまい、船外機は操舵不能状態でぐんぐん岸が近づいてくる。ここで慌てずキルスイッチコードを引っ張ってエンジンを切ればよかったのだが、パニックになって体が硬直したまま岸に乗り上げ、スクリューが砂利を引っかけてまたしてもシャーピンを折ってしまった。
もう予備のシャーピンはない。調子に乗ってしまったことを悔いながら再び川下りを始めた。
それでも初めての川下りは海とはまた違う面白さがあることに気付いた。穏やかに見える川面も流れは一定ではなく変化があって面白いし、漂いつつ流されていくという感覚も新鮮だ。川上がりではエンジン音で気付かなかったが鳥の声、魚の跳ねる音があちこちで聞こえる。わすか数百mだったが川下りを堪能しロデオまで戻った。

・浅瀬は無理せず下船して岸沿いを手で引っ張る
・予備スクリューとシャーピン10本、交換工具を積んでいく
これで川上がり遡行は十分可能とわかった。
アルミのシャーピンはあまりにも簡単に折れすぎる。4mm径25mm長の単なる棒なので、同じ径の鋼鉄シャフトを切って代用することにしよう。ノーマルのプラスチックのスクリューでも多少川底をこすったくらいでは破損する様子はないが、アルミスクリューにして予備も持てば完璧だろう。

この日はこのまま河口付近の市営キャンプ場で泊。
キャンプ場といっても水道蛇口が2つと小さな看板があるだけで、広大な河原のどこまでが敷地なのかも判然としないアバウトさ。しかも無料。設備が貧弱なのでテントキャンプは厳しいけれど、キャンピングカーには最適な泊地だ。てかGWの土曜なのに利用者誰もいないんですけど・・・。ロデオ9連泊最終日を静かで景色もいい最高のロケーションで過ごし、翌日高速15時間一気走りで帰宅。総走行距離4000km、高速料金は安くても軽油が130円では燃料費5万円也、10年前の軽油70円時代が懐かしい・・・。

  
   


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